コラム

生産に使う3Dプリンターの選び方

2024年02月09日

近年3Dプリンターの普及が進み、試作品や治具・工具などを自社内で保有する3Dプリンターで造形されるケースが増えています。次の段階として、最終製品の製造を3Dプリンターで行う事が期待されるでしょう。
そこで生産に使用する目的で3Dプリンターを導入する際のポイントを解説いたします。

3Dプリンターの専門家のための3Dプリンターではなく、誰でも使える3Dプリンターであることが大事

3Dプリンターによる、部品などの最終製品の製造を試みる際、まずは造形サービスを提供する会社等に外注することが多いと思います。その完成品が最終製品として実用可能であることを検証したのち、装置を自社で購入し内製化へと進まれるでしょう。
しかし外注製品と同じ3Dプリンターを使用しても、自社で生産する際に同じ完成品を再現できない可能性があるため注意が必要です。
その理由として 3Dプリンターは装置により、操作や造形に技術やノウハウを必要とするためです。
このようなリスクを避けるためには、個人に依存せず再現性の高い「誰でも使える3Dプリンター」であることが大切です。

誰でも使える3Dプリンターとは

では「誰でも使える」とはどのようなことか、ポイントごとに実際の製品の機能を例にご紹介いたします。

造形におけるポイント

造形精度

最終製品に使用するためには、精度の確保が必須です。そのため特別な操作をせずとも、高精度のモデルを造形可能であることが第一に求められます。

Stratasys Origin One

従来2K(200万画素)までであった解像度を、4K(800万画素)まで向上し、圧倒的な高精細・量産に使えるレベルの造形品質を実現。

Stratasys OriginOne

操作

精度の高い3Dプリンターの中には、機能の多さや詳細さから操作の難しい装置があります。操作の実行者に特別な知識や技術を必要としない、操作の容易さが必要です。

Shop System™

現場のワークフローにシームレスに適合し、造形の最初から完成までフル装備のシステムのため、難しい操作を不要に。

Shop System™

データの取扱

作成した元データを造形のためSTLファイルへ変換する作業は、人手を必要とする上に、その偏差が仕上がりに大きく影響します。

優れたソフトウェア

ストラタシス社製3Dプリンター専用のスライサーソフト「GrabCAD Print」は、プロフェッショナルCADのネイティブファイルや中間ファイルを直接読み込み、プリントすることが可能。

GrabCAD Print

サポート材除去

造形完了後のサポート材の除去工程は、時間や手間がかかるうえ、複雑な形状のモデルでは正確に除去することが難しい場合もあります。

Stratasys Origin One

90°、3mmのオーバーハング形状まで、サポート除去なしで造形可能。

Stratasys Origin One

Stratasys F3300

アルカリ水溶性のサポート剤を使用できるため、手作業での剥離が不要で、複雑な形状の部品の生産にも適します。

Stratasys F3300

Shop System™

基本サポート除去が不要で、焼結後にはセッター(焼結時の変形防止用治具)を手で取り外しできるため、焼結後すぐに使える製品造形を実現。

Shop System™

仕上げ加工

造形したモデルの表面の仕上がりや密度、強度の観点から製品として使用する前に、仕上げ加工を行います。必要な工程が多いほど、加工者の技術が求められます。

Production System™

1200x1200dpiのネイティブ解像度と50μmの積層厚を持ち、優れた表面仕上げと高密度・高強度を実現し、すぐに使える製品を造形。

Production System™

維持管理におけるポイント

造形材料の管理

材料に粉末を使用する造形方式の3Dプリンターは、材料の管理に課題があります。特に金属3Dプリンターでは、金属粉末の飛散による作業者の危険性や、工場内に金属粉末が拡散するリスクなどに対策が必要となります。

Stratasys H350

材料のパウダーは長期保管が可能で管理が容易。

Stratasys H350

Production System™

従来の金属3Dプリンターとは異なるバインダージェット方式を採用し、密閉された環境で粉体を安全に取り扱うことを可能に。

Production System™

Shop System™

バインダージェット方式を採用し、密閉された環境で粉体を安全に取り扱うことを可能に。造形サイズがより大きく、幅広い材料に対応可能なため、様々な生産用途での活用を実現。

Shop System™

メンテナンス

生産用として装置を稼働させると、定期的なメンテナンスが必要となります。ダウンタイムの存在は生産効率にも関わるため、メンテナンスは容易で短時間で行えることが望ましいです。

Stratasys F3300

メンテナンスが容易なため、ダウンタイムを短縮し生産効率を最大限にまで引き上げることが可能。

Stratasys F3300

Production System™

積層間でプリントバーを再配置するアンチバンディング機構によってプリントバーの冗長性を実現し、メンテナンス性も向上。

Production System™

まとめ

ここまでポイントごとに5種類の生産用3Dプリンターをご紹介しましたが、求める要件や用途より適した装置は異なります。
弊社では試作としての造形サービスから、生産用3Dプリンターの導入までサポートいたします。
お気軽にご相談ください。

造形(出力)サービスについて 生産用3Dプリンター導入のご相談

この記事の監修者

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アルテック株式会社 デジタルプリンタ営業部 3Dプリンタ営業課 渡邊 誠也
学生時代に3Dプリンターと出会う。以来、3Dプリンターに関わる仕事を求めアルテックに入社。さらに3Dプリンターの沼に入り込み、個人でもMakerbot社の3Dプリンターを所有。その知識量から、部内では3Dプリンターマイスターと呼ばれている。 さらに最近は愛犬家としても社内で知られている。
日々お客様からいただく生の声を糧に、「今、本当に求められている情報」をWebサイトやWebセミナーで精力的に発信している。

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