初心者向け 3Dプリンターの基礎
2021年09月29日
なぜ3Dプリンターは注目されているの?
2020年に始まったコロナ禍において、3Dプリンターの技術が医療用品の需要に応え、世界で注目を浴びました。また2013年には、オバマ大統領が一般教書演説で3Dプリンターに言及したことにより、3Dプリンターに大きな関心が集まりました。
"The 3D printing that has the potential to revolutionize the way we make almost everything."
3Dプリンターは、あらゆるものづくりに革命をもたらす可能性がある
その後、日本でも同年10月に経済産業省が「新ものづくり研究会」を立ち上げ、活用可能性について議論が始まり、3Dプリンターの知名度が上がっていきました。
現在注目されている理由として、下記のような3Dプリンターのメリットがあります。
開発期間の短縮
3Dプリンターを用いて試作品を造形することで、ものづくりの開発期間を大幅に短縮することが出来るようになりました。
従来は、設計後に外部の切削業者・板金業者などに委託しなければならず、手元にくるまでに数週間を要していた試作品が、手元の3Dプリンターを使用することで、設計した三次元データからすぐに造形できるようになったのです。開発期間の短縮により、メーカーは短期間で市場に商品を投入できるようになりました。
コスト削減・小ロットへの対応
金型は小さく安いものでも数十万円~、大きく形状が複雑なものは1000万円を超える製作費用が必要となります。しかし3Dプリンターを使い、三次元データから直接造形することにより、その費用を削減することが可能となりました。たとえば工場で使われる治具工具のように、小ロットで必要となるものは、3Dプリンターにより、1個から製作が可能となりました。
複雑形状への対応
金型を利用するには、型から取り出すことが可能な形状である必要があります。また切削加工では、刃が入る形状にする必要があります。このことから形状に様々な制約がありました。一方、3Dプリンターでは曲がった配管を有する形状も製作することができ、造形の自由度が高いことから、従来工法からのシフトが起こっています。

ネットワークとの親和性が高い
ソーシャルネットワークの発達により、アイデアを他者と共有することが容易となってきました。Thingiverse、MyMiniFactory、pinshape、Youmagazine、モデラボ、3d CAD DATAなど、無料データが掲載されているサイトが増え、個人での3Dプリンター利用も増加しました。3Dプリンターさえあれば、これらのデータを使い世界中どこでも作ることが出来るようになったのです。
最終製品としての活用
以前は試作品への利用が多かった3Dプリンターですが、その材料・スピード・精度・強度などの向上により、最終製品としての利用事例が出てきました。医療、製造、建築など多くの分野で最終製品としての利用が期待されています。
3Dプリンターってどういうもの?何に使えるの?
3Dプリンターとは、3次元のデータを「カタチ化」できる機械です。当初は専ら試作用として活用されていましたが、その用途は年々変化を見せています。現在では治具工具、最終製品などを直接造形するダイレクトデジタルマニュファクチャリング(DDM)という活用方法が増え始めました。 例えば、自動車業界では、BMW社がエンブレムの取り付け治具をはじめとする生産用の治具を造形しています。

3Dプリンターにはどんな種類があるの?
材料による違い
プラスチック(樹脂)・金属
現在普及しているのは樹脂の3Dプリンターですが、2021年現在、金属プリンターも盛り上がりを見せています。
造形方式による違い
FDM方式 (熱溶解積層方式) |
熱で溶かした樹脂をノズルから押し出し、ソフトクリームのように一筆書きで1層ずつ積み重ねて造形 | 強度が高く、熱に強い |
光造形方式 | 液体状の樹脂が入った水槽に光を照射し、1層ずつ重ねて造形 | 表面の仕上がりがきれい 高速造形(DLP方式) |
インクジェット方式 | 材料をノズルから噴射し、それに光を当てて1層ずつ重ねて造形 | 高精細・なめらかな仕上がり 複数材料の同時使用 フルカラー造形 |
バインダージェット方式 | 機種によって、複数の材料を同時に使用したり、多色での造形も可能 | サポート材が不要 生産性が高い |
3Dプリンターを導入した方が良い会社はどんな会社?
スピードを必要とする会社
試作・開発段階で、試作品を外注する場合、1週間以上かかるものが、社内の3Dプリンターを使うと、わずか数時間で造形することが可能となります。
従来工法では作れない物を作りたい会社
切削や金型では、どうしても作れない形状が発生します。その場合、3Dプリンターで造形可能か確認してみると良いでしょう。
治工具を必要とする会社
外部へ発注していた小ロットの治工具は、社内の3Dプリンターで造形することにより、コストカット・納期短縮できます。
情報漏洩を防止したい会社
新製品の設計段階で、試作品の製造を外注する場合、その情報が他社へ漏れる可能性はゼロではありません。自社所有の3Dプリンターで試作品を造形することができれば、情報漏洩リスクを低減することができるでしょう。
余分な在庫を持ちたくない会社
今までは製品が故障した時のために、保守部品をある程度は保管しておく必要がありました。しかし3Dプリンターで造形することができれば、データのみ残しておけば、必要になった際、都度製作することができます。
3Dプリンターの最新ニュース・トピックス
世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)の感染急拡大による医療器具・防護具不足が深刻となりました。
その中で、3Dプリンターによって医療提供者向けのフェイスシールドなどの保護具や、患者にとってなくてはならない人工呼吸器のパーツが製造されました。
金型が不要であり、短納期での製造が可能な3Dプリンターのメリットが大きく生かされた事例と言えます。

3Dプリンターのメーカー
Stratasys(ストラタシス)
3Dプリンターの世界で最もメジャーな方式である、工業用樹脂に熱を加え溶解し、それを積層するという「FDM方式」の開発元であり、高精細3Dプリンターである「PolyJet方式」を擁するStratasysは高い精度と高速性・安定性から高品質を求める日本企業に選ばれ続けています。
MakerBot(メーカーボット)
現在ストラタシス社の傘下にあり、ストラタシスのハイエンド技術を取り入れた、ローエンドとハイエンドの中間となる製品も展開しています。
Desktop Metal(デスクトップメタル)
米国市場最も急速に成長しているユニコーン企業(時価総額1,000億円超)として、金属3Dプリンター界を牽引しています。
3Dプリンターを買える場所
弊社は3Dプリンターのトップメーカーを取り揃える産業機械商社です。
海外勢が強い3Dプリンターですが、お客様が安心して使えるよう15年のサポートを継続しています。3Dプリンターは専門的な装置のため、分からないこともあると思います。ぜひご相談ください。
お問い合わせ
03-5542-6756
※「3Dプリンターの件で」とお伝えいただくとスムーズです
この記事の監修者

日々お客様からいただく生の声を糧に、「今、本当に求められている情報」をWebサイトやWebセミナーで精力的に発信している。